太鼓にならなかった曲線たちを
多様な解釈で世の中に
「The Curve」は、太鼓づくりの途中で出てしまう割れや欠けなどがある木片を、捨てずに新しいものへ生まれ変わらせようとするプロジェクトです。太鼓ならではの曲線をもつ木材と、宮本卯之助商店の職人の技に多様なアイデアをかけ合わせていきます。
太鼓になれない木材とは?
木材の中には、割れひびや虫食い、大きなフシなど太鼓づくりに適さないものがあります。また太鼓が何十年も使われる中で壊れてしまった木片などもあります。大太鼓に使われる木材は何百年という樹齢のものも多く、太鼓になれなかったとしても他のものへと生まれ変わらせる責任が私たちにはあります。
STORY
The Curve に込めた想い
くり抜きの太鼓の胴は、乾燥の過程で割れや歪みが生じ、製品化できないものがあります。
職住を共にしていた昔の太鼓屋では、夜寝ている時に木が割れる音が聞こえようものなら「今月の稼ぎがなくなる!」と大いに悩んだ、という話を聞いたことがあります。
先代の父は「何とか太鼓にしたい」と強く考えていましたが、若い頃の私は父の言葉に耳を貸さず「倉庫を塞ぐものだから」と、廃棄したことがありました。しかしそれは私に無力感と罪悪感を与え、心に棘を残しました。
プロジェクトの始まり
弊社の倉庫には、太鼓になるため曲線に木取りされたものの、割れて使えない胴が保存されています。森をつくる太鼓プロジェクトを機に改めてこれを見ていた時、座面のカーブが浮かんだのです。「太鼓にはなれずとも、別のものになれるのでは?」と可能性を感じました。
木を無駄にせず、この曲線を活かした「何か」に生まれ変わらせられないだろうか?「The Curve」はここから始まっています。
伝統の技とともに試作へ
太鼓を仕上げるための鉋掛けの技。時代の変動で継承が難しくなりつつあるこの技を、宮本卯之助商店は大切に残しています。
曲面を美しく仕上げるこの技は、太鼓づくり以外にも活かせるのではないか。そう考え、私たちは試作に取り掛かりました。
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神恩感謝 日本太鼓祭【大太鼓一人打ちコンクール大会トロフィー】
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試作チェア
手鉋で仕上げた表面は、滑らかで撥水性に優れています。
その手触りと質感を太鼓以外の製品でも感じてもらいたいと思っています。
The Curveプロジェクトは、クリエイターや関心を持つ人たちと手を取り合い、一緒に具現化すべくその姿を削り出していきたいと考えています。そしてまた、今ある素材と技術でアートと環境を豊かにすることを目指す「森をつくる太鼓」の活動の輪を拡げ、進展させることに繋がると信じています。
宮本卯之助商店 代表取締役社長 宮本芳彦
COLLABORATED PRODUCTS
アーティストとのコラボレーション
「The Curve」はその性質上「何にでもなる」ことができ、多様性に富むプロジェクトになる可能性を秘めています。その第一弾としてアーティストとのコラボレーションを行いました。パリのデザイナー、ピエール・シャリエさんと作ったスツールです。
専門分野はライフスタイルに関するプロダクトデザイン。デコレーションにもこだわった製作をしている。日本では各都道府県がクライアントの仕事を行い、デザインリサーチ事業も担っている。2009年からは芸術とデザインの学校で講師を務め、日本の職人やメーカーとのコラボレーションも行っている。
ギャラリー
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Re-Taiko Stool No.10
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Re-Taiko Stool No.2
THE ORDER PROCEDURE
The Curve のオーダーについて
本プロジェクトに興味を持っていただいた方々と、新たな「The Curve」を創り出していきたいと考えています。もう少し詳しく知りたい、素材を見てみたい方は、お気軽にお問い合わせください。
宮本卯之助商店の技
私たちは1861年の創業以来、数々の太鼓や神輿などの制作を通じて多岐に渡る優れた技能を習得しています。
お客さまが「The Curve」の商品に何らかの加工をしたい、装飾をしたいと思った時、そのご要望に私たちは答えることができるかもしれません。代表的な技を下に紹介いたします。お気軽にお問い合わせください。